日経社説をはじめからていねいに

日本経済新聞朝刊の社説を要約し、そこに自らの考察を加えます。

仮想通貨、安易に手を出すべきではない

仮想通貨取引所の安全性を再点検せよ

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO26293780Q8A130C1EA1000/

要約

仮想通貨の国内大手取引所コインチェックで約580億円相当の仮想通貨NEMが流出した。同社は顧客の資産を保護する基本的な防御システムに不備が有り、とりわけ「秘密鍵」の分散管理が疎かであった。仮想通貨全般への信認低下を防ぐためにも、取引の安全性や透明性を担保する再点検が不可欠である。金融庁はシステム再点検を含め厳しい措置を取る必要があるが、投資家の保護や情報公開などで民間主導の自主規制の強化も重要だ。

 

持論

ビットコインをはじめとする仮想通貨は元々、消費者の決済手段として導入されたものですが、今では値上がりを見据えた投機としての取引が主流です。投機を悪いとは思いません。しかし、安全性の高い取引のためにも自分は大きく三つのことが重要であると考えます。

一つ目は、仮想通貨業者が一体となって統一的な投資家保護の業界ルールを策定すること。過熱する仮想通貨市場では、いかに新規客を取り込むかが各業者の課題となっていますが、それよりもまず業者が競争ではなく協力によって業界全体をまとめるべきだと思います。

二つ目は、仮想通貨業者への管理システム構築の徹底命令。証券取引に比べて仮想通貨は管理システムに資金が投入されておらず、全体を管理する一元的な管理者がいないのも問題です。ブロックチェーンという技術の特性を生かしつつ安全性を確保するには、行政の管理も必要です。

そして三つ目は、利用者自身のリスク認識。儲かるからという理由で安易に手を出すのではなく、リスクを認識した上で取引を行うべきです。コインチェックがNEM流出を公表したあと本社前に資金を失った投資家たちが集まったそうですが、仮想通貨へのリスク認識が甘かったのではないでしょうか。安全性が確実ではない仮想通貨取引をする以上、リスクは覚悟の上です。

都市部の農地を守るために

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO26293800Q8A130C1EA1000/

要約

大都市市街地の「生産緑地」に対する新たな税制優遇措置が決まった。後継者のいない人も農地を保有し続けやすくするため、都市部の農地保全効果を期待できる。都市部の農地は避難場所や住民の交流の場として重要で、農地が住宅地に転用されると古い住宅は更に空き家率が高まる一方、生産緑地に指定されている土地で農業をしない課税逃れも横行している。農地利用に関して、行政がしっかりと事業計画を確認することが欠かせない。